古典の津軽三味線から現代音楽まで幅広く演奏させて頂きました。
僕がステージに上がって一度会釈をしてお客さんを見渡した瞬間思わず僕の第一声が何故か「皆さん良い顔してますね〜!」から始まってしまいました(笑)
そうなんです。僕が入場したとたん耳が痛くなるような拍手で(ホントだよ)みんなニッカラニッカラ♪って笑顔で良い顔してるんだよね。
あんな力強い拍手してたら手が腫れるってば…って思いました。
で、一番おかしかったのが真面目に古典津軽三味線を弾いてると物凄い真剣な眼差しでこっち見てるんですよね。その顔がまるでガンつけられてるみたいな。。
「あの〜、、みなさんさっきまでの楽しそうな笑顔から一転、演奏中の皆さんの顔を見てると鏡で見せたいくらい鬼の様なおっかない顔してるんですけど。。僕に何か恨みでもあります?もうちょっとリラックスして良いんですけど…。」
会場は大爆笑!その瞬間無理に力が入っていた顔からまた元の顔に戻った。この瞬間がいつも楽しいですね。
津軽三味線の場合聴くお客さんの大半はみんな真剣になりすぎて体に力入るんだって。
津軽の三味線は演奏者によってもまちまちですが津軽の風土、四季、生活、風に大地に吹雪等を思わせる様な演奏なのだからと師匠や先輩に教わりました。
現役奏者の間はそれがずっと僕のテーマです。まだまだ修行が足りません(涙)
もっと楽に聴いててもらっていいのにねぇ。。コンクールじゃないんだからってよく言います。
そういえばよく師匠が言ってたのを思い出しました。
「聴く人が自然に耳に入ってくるような音で弾がねばわがね」って良く言われたものです。「手で弾がねでちゃんとこご(心)で弾がねばわがねんだ、それが即興どいうもんだべ。よぐおらほの師匠が言ってだもんだ。」
「鳴る三味線は弾けば鳴る。ただ鳴らさないで本当に鳴らしてみろ。」とかね。
「よくおらほの師匠がいってだもんだ」は師匠の口癖でした。
その「おらほの師匠」とは初代白川軍八郎先生の言葉なんですけど、しょっちゅう言われた若い頃はなかなか理解できなかったのが今になって染みてくるものなんですよね〜。
だから僕がお弟子さんに言う言葉は師匠から言われた言葉でもあり初代白川軍八郎先生の言葉でもあり、ひょっとするとそのまた師匠の仁太坊さんの言葉に行き着くのかもしれないね…。